2005/10/30

「おんがくだんぎ」 

ナレーター:今日もおんがくだんぎをやります。
 おんがくだんぎ〜録音編その壱
・マイクの使用法:まず、アコースティックギターの録音の場合、サウンドホールに向けるのが一般的であるがゆえに、思わぬ失敗をすることがある。往々にして多いのは近づけすぎ。確かにナチュラルかつパワフルな音が録れるのだが、楽器とマイクが近すぎると近接効果という現象が起きる。近接効果とはふたつ以上の物体が近づくことによってお互いに影響を受けることなのだが、アコギの場合で説明すると、弦の振動(音)がボディーの共鳴によって増幅され、サウンドホールより出てくるわけだが(もっともサウンドホール以外からも出ているが)その音がマイクにあたり反射(マイクは音を吸収するわけではないので当然反射音も発生する)する。反射した音がサウンドホールに戻る。ここで問題なのはマイクからの反射音は逆相となってギターの出音の影響を与えるということである。ボディーに侵入した逆相の音は倍音その他を打ち消したり、異種の周波数を付加したりしてサウンドキャラクターを変化させたり、ハウリングのような音を発生したりする。一種のギター本体の共鳴によるハウリングなのだが、低音域などは顕著にあらわれる。とくにマイクのローカットがなされてない場合レベルメーターは低い値を示しているにも関わらず音が割れる。これが録音に悪影響を及ぼすのはいうまでもなく、また原因不明の症状ととられやすいので厄介の問題となる。このことから、マイクセッティングは慎重に行わなければならない。
・ローカット:マイク録音の場合必ずローカットしなければならない。要領はいたって簡単でインプットイコライジングのローを最小にするだけである。これは先の近接効果による障害の軽減と、吹かれによって拾われる音のカットが目的である。
吹かれとは:ヴォーカル録音などでよく発生する。風(息)の音をマイクが拾ってしまう現象。シュアーSM−57などはこれに対して非常に弱い。SM−58はSM−57にウインドスクリーンを取り付けて吹かれに対応したもの。しかし、ヴォーカルなどの場合、マイクに標準装備されているものだけでは間に合わないので、ポップブロッカーなどのウインドスクリーンを別に使用しなければならない。特にコンデンサーマイクやリボンマイクなどはダイナミック型に比べて高感度なため吹かれには十分な対策が必要である。
・ピークメーターとVU計:ピークメーターとはもVU計も信号のレベルを監視するメーターなのであるが各々違いがある。ピークメーターはパルス(打楽器音など)や瞬間的なピークに対応するもので、一般機器にはこちらが主流となっている。これに対してVU計は平均的なレベルを表示するものである。そのため瞬間的な信号の変化に対応できない。ここまでだとVU計は不必要に思われるが、リミッターなどで瞬間的パルスを処理する時、最適レベルをキープするのに役立つ。最近ではスペクトルアナライザーなどが搭載されているものが多いのでVU計は使う機会が少なくなったが、ピークメーターのみで処理した場合、ほとんどが処理後のレベルダウンに気づかずに思ったより低い音圧になってしまうことがある。ミックスダウンやマスタリングには基本的に両方あったほうがよいであろう。
ナレーター:ギターについて書こうと思ってたのですが、いつのまにか録音(P.A)関係の話になってしまいました。この分野は非常に幅が広くかつ専門的かつ多量になるので、小分けにして書いていきたいと思います。それではまた次回まで。



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