2005/10/29

「おんがくだんぎ」 

ナレーター:いきなしのおんがくだんぎです。例によって作者やKの来る前にやってしまいましょう。
 おんがくだんぎ〜録音あれこれ
録音には様々なトラブルその他がつきまとうもの。今回はそれをいくつか挙げてみる。
・ベースの音割れ:ベースに限らず、エレクトリック楽器の録音は二通りのやりかたがある。まず、オーソドックスにアンプをマイクで拾う方法。この場合注意点がふたつある。まず、アンプに対してのマイクの向け方。スピーカーキャビネットに対して30度くらいの角度をつける。そしてマイクの先(ウインドスクリーン部分)をスピーカーのエッジ部分(キャビネットではなくスピーカー自身のふちの部分)に位置にセットする。スタンドはブームタイプを使用して横から狙うかんじでセットする。悪い例としてはキャビネットに対してマイクを正面からむける。スピーカーの中心に直接マイクをむける。これらの場合、ほぼ間違いなくスピーカーからの吹かれが発生する。ベースなどは特に発生しやすいのでマイクセッティングは重要である。スタックなどの複数のスピーカーを持つものは、どれかひとつを同様にしてセッティングすればよい。次にミキサーのセッティングはローをカット、ハイはフラットにする。ローカットは吹かれを拾わないようにするため。すべてのマイク録音はローカットで行うのが原則である。(ヴォーカルなども含む。)ハイをフラットにするのは余計な倍音を拾い過ぎないようにするため。
次の方法はラインで直接入力する方法である。この方法で問題なのは、インピーダンスマッチングの差が生じる場合が多くなることである。インピーダンスマッチングとは楽器(エフェクターを含む)の出力とミキサーの入力の関係のことで、この関係を無視すると間違いなく失敗するというものである。つまりミキサーの許容入力に対して楽器の出力が大きすぎたり小さすぎたりすることによって障害が生じるということである。大きすぎた場合は音割れ、歪などが生じる。小さすぎた場合はハイ落ち、ノイズの増加を招く。ベースなどは出力が大きくなりやすいため、過大入力となって音割れする。これらを防ぐ方法としては、DI(ダイレクトボックス)を使用する。これは楽器用の出力の幅をオーディオ用の出力の幅に抑える働きをする。なぜこれを使うかというと、楽器の出力信号は大小の幅が広すぎるため、オーディオの許容入力の幅を超えてしまう。これはオーディオに直接楽器を接続して弾いてみるとわかるが、音割れしやすく場合によってはアンプやスピーカーを破壊してしまう。楽器用のアンプ類は楽器に合わせたインピーダンスセッティングがなされているため、問題は起こらないのであるがその分音質がオーディオに比べて落ちる。DIが用意出来ない場合はコンプレッサーをピークリミッター的に使う方法があるが、セッティングがシビアになってくるので、あまりオススメできない。もっともマルチエフェクターのアンプシミュレータ等にはアウトプットセレクトがついている場合があるのでそれをLineにして使用してもよい。
・ミックス時に音がこもる:これに関してはMTRやミキサーによって若干の違いがあるが、解決方法としては追加方向にイコライジングしないことが基本である。どういうことかというと、ほとんどのMTRやミキサーはモジュル数(トラック数)がいくつあってもイコライザー用のアンプがひとつしかないため、複数モジュールをプラス方向にしていくと処理能力の限界から、イコライジングの幅が自然と狭くなっていってしまうのである。故にイコライザーが効かなくなってくるのである。これの解決法はすべてのイコライザーつまみをフルにして余分な音の成分をカットしていく方法がある。つまりイコライザーアンプを最大にしてカットしていくことによって音作りをしていくわけである。この方法はマスターをつくる際にオーバーロードを防ぐことができるというメリットがある。モジュールやマスターのレベルフェーダーを動かすだけでイコライジングは変化するので、マスター作成時はこの方法がよい。ちなみにプロの場合、帯域分離コンプレッサー(マスタリングキット)を使用するのでイコライザー処理はわりと楽である。
・オーバードライブ系ギターを目立たせる方法:これが意外に厄介である。プロの場合はマスタリングキットによりあまり苦労はないのだが、通常のイコライジングでまかなうとなると結構大変である。まず、クリアーに録音できているかどうかからはじまる。これは録音後フェーダーを動かすことによってわかる。フェーダーを動かす目盛が少ないのにもかかわらず音量の変化が大きい場合クリアに録音できていることになる。クリアーに録音できていればほとんど問題なくイコライザーでの処理も楽であるが、そうでない場合非常に厄介である。この場合パライコなどを追加挿入できればよいが、そうでない場合ある意味お手上げである。ショートディレイなどで空間的響きを付加して音色自体を変えてしまうか、最悪録り直しをすることになるであろう。
ナレーター:ギターについてはもう少し詳しく書きたかったんですけど、長くなりすぎたので、またの機会にいたしましょう。



                               戻る