2005/10/18

「おんがくだんぎ(不意打ち)」  

ナレーター:今日は不意打ちです。作者とKが来る前に終わらせます。
 おんがくだんぎ〜ドラム録音編
ドラムの録音は他のパート(ギター、ベース)とは少し違う。というのは録音前の準備段階が非常に手間がかかるのである。ただ、録音してしまえば後の補正は比較的楽である。では、手間のかかる前準備とはどういうものかを解説する。
1:それぞれの楽器(スネア、タム等)の音の干渉を極力抑えるようにしなければならない。例えばタムを叩いた時、スネアのスナッピーが同時に鳴り出す様ではダメである。というのはスナッピーは金属音であるため、耳に聞こえない倍音をマイクが拾ってしまい、それが知らないうちにオーバーレベルになってミキシング操作に悪影響をおよぼしてしまうのである。では、それを解消するにはどうすればいいかというと、スナッピーと裏ヘッドをガムテープでミュートする。ただし、あまり強くすると奏者に負担がかかるので、タムを叩いた後、いつまでもスナッピーの音が残らないようにするくらいでよい。(うゎ〜〜んと伸びてるのがザッと切れるくらい)また、レコーディングルームで足踏みしてみて、それにスネアが反応してしまうのもダメ。そういう場合はスネアスタンドを毛布かなにかにのせる。(その時はフロアタムも同じ様にする。)チューニングに関しては裏ヘッドをゆるめに張って表ヘッドで音程をつける。確実に干渉を防ぐには表ヘッドのチューニングビスを1本だけ少しゆるめる。(演奏中スティックの当たりにくいところを選ぶ)そうすることによってムダなリリースがなくなるので干渉しにくくなる。
2:マイクセッティングについて
・バスドラム:バスドラムだけは他の楽器と違って少々ややこしい。まず、打面の反対側(表ヘッド)をはずす。そして内側から打面にミュートする。22インチのバスドラなら座布団を3枚〜5枚使って直接打面にあてる。そしてマイクは毛布などでグルグル巻きにして中に入れる。ヘッドをはずすのは不必要なリリース音を完全に除去するため、マイクを毛布などでグルグル巻きにするのはマイクの吹かれ防止の為である。
・バスドラ以外のセッティング
*ゴージャスな録音をする場合はそれぞれの太鼓にマイクを表ヘッド側から向ける。更に、裏ヘッド側にもマイクを向ける。そしてオーバートップに2本以上のマイクを使いそれぞれをマルチトラックで録音する。それぞれのマイクで拾った音をミックスできるので、好みの音をミキシングで作れ、楽器単位の修正もできるというメリットがあるが、通常のスタジオではなかなかできない芸当である。
*簡易的な方法としては打面側にマイクを向ける。そしてオーバートップを2本使う。それをミキサーで調整して2トラックにおさめて録音する。マイクの本数を減らしたければ、タムを1本、オーバートップを1本にそれぞれする。基本的4点ドラムでバスドラ、スネア、タム、フロア、オアーバートップの5本で済む。
どちらの方法でもシンバル系は直接マイクを向けない。どうしても向けたい場合でもハイハットのみにする。
オーバートップは端折らないほうがいい。オーバートップは別名オフマイクとも言うが、ドラム録音には欠かせないものである。これでアタック以外の音を録るのである。シンバル等の金系のものはアタックよりもリリースのほうが重要なのと、オンマイク(楽器に直接向ける方法)で録ると必ずクリップしてミキシングできなくなってしまう。オンマイクはドラムの場合あくまでもアタックを録るためのものである。
蛇足ではあるが、マイクも可能ならスタンドではなく天井からのぶらさげのほうがよい。床からの振動が一種のノイズとなってマイクに拾われてしまうことがある。(このノイズがまた耳ではとらえられなくて、電気的なピークをつくってしまうことがあるので厄介である)
・レベル調整:よくライブの音だしで楽器単体(スネアならスネアだけ)でレベル調整している姿を見かけるが、ドラムはそれではダメである。というのは曲を叩く場合、楽器単体というのはほとんどありえないからである。パターンなどを叩いてすべての楽器のトータルバランスをとらなければほとんど無意味である。つまりパターンを叩く場合、スティック移動などで、必ずしも単体の時のようなパワーや音色を出すことができるとは限らないからである。むしろ、出せないであろうから、パターンを叩いている間にミキシングをするほうがいい。できるまでドラマーには延々パターンを叩いてもらう。そうして全体のトータルバランスをとっていく。ちなみにこうしないとまず低い音圧でしか録れない。
・エフェクト:録音後の処理はリバーブ、パライコ、コンプレッサー、ノイズゲートがいい。リバーブは録音時に失われたリリース音を復活させるため、パライコはそれぞれの楽器の音的分離をよくするため、コンプレッサーはリミッター的使用法とそれぞれの楽器のバランスを揃えるため、ノイズゲートはスネアやシンバルの不必要なリリースをカットしてタイトに仕上げるため、それぞれ使用する。
ナレーター:ちょっと長くなりすぎましたが、言葉にすると結構長くなってしまいます。限られた設備その他ではこのくらいが注意点ではないかと思います。もっともプロの録音の場合はドラムセットの位置から問題になってきます。ルームの響きなども考慮にいれるわけですが、そこまでいくと時間がいくらあっても足りなくなるので、今回は省きました。以上で終わります。
作者:今日のオレの出番は?
ナレーター:あると思いますか?
作者:思いません。



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