2005/7/13

「作者の“おんがくだんぎ”」 

作者:おんがくだんぎ担当のKが来ない。逃げやがったようだ。しかし!オレは約束は守る男だ。というわけで、異色のおんがくだんぎをお送りする。只今、ティーオレにメイプルシロップの入った物を飲んでいる。こいつは、インスタントでお湯にとかして飲むんだが、配合比率が難しく今飲んでるのも非常に薄い。したがってあまりおいしく・・・、失礼。すんでのところで今日の題目を忘れるところだった。ということで、今日のおんがくだんぎはコレだ!
 おんがくだんぎ〜おんがくクリニック
今日のおんがくだんぎはQ&A方式で行います。
 ヴォーカル編
Q:歌詞がはっきり聴き取れないと言われるのですが。
A:日本人ヴォーカリストの言葉が聴き取りにくいというのは最近特に顕著に顕れてきました。速い曲ならまだしも遅い曲もわかりにくくなっています。これは日本語そのものが類似した発音が少ないため、対話レベルでは腹話術師のような口の動きで聴き取れてしまうということに起因します。例を挙げるとの差は日本語ではあまりありません。英語の場合明確につけねばならない違いも日本語ではアバウトでもいいわけです。そういう言語土壌に育った日本人がはっきりした発音方法を身につけているとはとうてい考えられません。ましてや音の高低長短があり、P.A、楽器などのある種の妨害的要素をもつファクターのなかに存在するヴォーカルが少々のことで聴き取れるハズがありません。これの克服方法としては、歌詞の素読みをすること。通常の会話の高さとそれよりも高い音、低い音の3種類を素読みして録音します。そうすると明らかに母音の張りに差が生じ、それによって子音がマスキングされてしまうのがわかります。子音をそれに近づけることが必要になるわけですが、簡単な方法としては大袈裟に子音を出すことで克服できます。ただし、それには口や舌の動きがより複雑かつ派手になりますのでそういった部位の筋力トレーニングも必要となります。
Q:ハードロックがしたいのですが高音域が出せません。
A:楽器のピッチを下げてみてはどうでしょうか。ただし、せいぜい2音程くらいが限度です。それでも難しいようなら、諦めたほうがいいでしょう。
Q:昔から声が高くて合唱なんかでも女声域のパートにいました。ロックをしたいのですが、できるでしょうか。
A:結論からいうと難しいでしょう。たしかに音程は再現できるでしょうが、ニュアンス等の違いがでるでしょう。ロックの場合、男声は高音域、女声は低音域という暗黙の了解みたいなものがあります。もともと反社会的という理念のもとに生まれ育ったものですから、あらゆるセオリーから反抗するといった傾向があるわけです。そこには多少のムチャが存在するわけで、クラシックなどとは大きく違うところです。ただ、そういうスタイルがないわけでもありませんので、一概にはムリとは言えません。
Q:ヴォイストレーニングはどういうふうにすればいいのでしょう。
A:目指すジャンルによっても多少の違いがありますが、高音域よりも低音域を重点的にするべきでしょう。最低音は声帯の構造上各々決まっているわけですが、低音域のトレーニングをすることにより、声帯をフルにつかった発声法が身につけられます。その声帯の使い方をマスターすれば、高音域においてもパワーと余裕のある発声が身に付けられます。
Q:リズムに自信がないのですがヴォーカルはそんなに気にしなくてもいいと言われたのですが。
A:全く逆です。他のパートにも言えることですが、リズムはドラマーにひけをとらないくらい研究するべきです。ブレイクインする場合、リズムがしっかりしてないと他のメンバーとのタイミングが合わなくなります。ただし、ここでいうリズムとはメトロノーム的感覚ではなく、タイム感覚、つまりノリを重視したリズム感のことです。
Q:スキャットについて。
A:スキャットと一言で言ってもなかなかヴァリエーションがあって難しいのですが、フェイクに近いアドリブといったところではないかと考えられます。ただ、声をパーカッションに見立ててということをいわれますが、すべてがそうだとは言い切れません。ラップについても同じことが言えるのですが、パーカッシブというセオリーにとらわれるとワンパターンなものしかできません。歌詞という概念では表現しきれないものを表現するアドリブのひとつの手法としてみるほうがいいでしょう。
Q:録音時以外にもエキサイターをかけるほうがいいと聞いたことがありますが。
A:ハリを生み出す点においては効果的かもしれませんが、しょせんは機械で作られた声のハリということになりますので、ホンモノではないということ。また、すべての場において同じエフェクト環境がつくれるわけじゃないので、あまり期待はできないということ。それを踏まえたうえでならば、やってみてもいいでしょうが、慣れっこになると確実にヘタになります。
Q:音痴の矯正法を教えてください。
A:音痴にはいくつかのパターンがあります。ほとんどが相対音感がないという理由からなのですが、すべての人間はある種の音感は持ってますので身につけることは比較的簡単です。よく誤解されるのですが絶対音感がないから音痴であるわけではありません。むしろ絶対音感のある人のほうが音痴が多いということも言われます。音感というのは基本的にメジャーかマイナーか、音が高いか低いか、その違いさえ聴き分けられれば十分なのです。コールアンドレスポンスをするのに、ギターがドレミを弾いた、なんて考えてやる必要はありませんし、そんなことを考えてする人はまずいません。では、矯正法ですが、ステップ1として基準音を一音ならしてそれを主音としてド・レ・ミ・・・とオクターブ上まで上昇し、続いてド・シ・ラ・・・と下降して基準音に戻る。このとき注意することは音程変化を意識してつけること、”“”“とはっきりわけて出すことが重要です。決してポルタメントで出さないことです。音痴の大半は中途半端な音程に影響されてさらに続く音が中途半端になってしまうことが多いので、今自分が出している音がドレミのどの音になってるかを冷静にイメージしなければなりません。録音して聴いてみるのもいいでしょう。ステップ2としては先ほどの基準音から3度や4度などの音飛びの練習をすることです。極端な音の跳躍はヴォーカルに於いてはあまりないと思われますので、5度くらいまででいいでしょう。ステップ3はベースを聴いて音をとる練習ですが、先述のステップ2までが出来ればわりと簡単にできるでしょう。これらを繰り返しマスターすれば音痴は必ず直ります。要は絶対音感ではなく訓練なのです。
Q:声がフラットするクセがあると他のメンバーからよく言われます。これも音痴の一種なのでしょうか。
A:フラットするだけで全体的なメロディーラインが崩れてなければ音痴ではありません。ただ、矯正はなかなか難しいのが現状です。フラットする原因としてはキーが合ってない、コード楽器のモデュレーションエフェクトの影響を受けている、コード楽器のヴォイシングの問題、楽器のモニターのセッティングが合ってないなどのものがあります。キーの問題は思い切って下げてみてはどうでしょうか。声にムリがあるキー設定の場合下げることによって解消されることがあります。モデュレーションエフェクトの場合はモニターにあまり返さない。ベースを聴いて音をとる練習をするなどで解消されるでしょう。コードヴォイシングの影響は結構大きくてメロディーラインと合わせると異様な響きになる場合があります。特にトップノートで問題が起こることが多いでしょう。この場合、ヴォイシングを転回させて変えてしまう、オリジナル曲はもとより、コピーに関してもそういったアプローチをとることで解消されるでしょう。モニターに関してはライヴに於いては、立ち位置の変化でドップラー効果が掛かる場合があるので、自分が思ってるより高めに音をとってみれば解消されるでしょう。一般的にドップラー効果は高音域に顕著に顕れるので、やはり低音域のベースを基準にして音をとる訓練をしたほうがいいと思います。補足として、フラットするのはヴォーカルがヘタ、シャープするのは楽器隊がヘタ、という評価になります。
作者:ヴォーカル編だけでかなり長くなってしまった。こういうスタイルのおんがくだんぎもいいかと思うので、これからも続けます。またコメント可にしておくので、質問などあったらいれておいてちょーだい。ふふふ、Kの出番が減っていいかも。


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