2005/5/29

「おんがくだんぎ〜ギター特殊奏法〜二本立て、その壱」 

K:今日は前置きナシでいきなしいくわよ。二本立てだから間違えないでね。
おんがくだんぎ〜ギター特殊奏法編
前回は少しマニアック的な奏法を紹介したが、今回は後編ということでポピュラーなものを紹介してみる。
 ヴィヴラート・アーム奏法
トレモロユニットを使う奏法であるが奏法紹介の前に少し解説をする。トレモロユニットは一番簡単なエフェクターで、弦の張力を強めたり弱めたりして効果を得るものである。ただし正規のチューニングに於ける弦のテンションをいじる為、チューニングの狂いが生じやすいという欠点があるものの、ロックシステムの発展によりかなり解消されている。ロックシステム型のユニットは弦交換、チューニングがメンドウであるという欠点を除けば非常に安定性は高く、弦が伸びきった状態ならば、ほとんど狂わないと言っていい。ナットとペグの間、ブリッジとテイルピースが一体化されてないものなどは(往年のビグスビーなど)、ナットやブリッジと弦の摩擦その他の影響によりかなり不安定になる。ただ、演奏する内容や好みによってどれを使うかは各自分かれるようである。例えば、ビクスビーなどは熱狂的なベンチャーズ、寺内タケシのファンなどに愛好者が多い。逆をいえば、これらのユニットでブラッドギルスやヴァン・ヘイレンなどは不可能であるし、フロイトローズなどでベンチャーズをやっても雰囲気がでない。
それでは奏法の紹介をしてみる。特別名前のある奏法は以外に少ないので箇条書き的に書いてみる。
 ・アームを押す(ダウン)ロングトーンのみならず、トリル、コード弾きなどにも絡ませる。
 ・固定されたアームを音が出た直後に軽く叩く(装飾音的効果)
 ・アームを引く(アップ)こちらもロングトーンのみならず、トリル、コード弾きなどにも絡ませる。ただしアップ使用の場合はユニットをフローティングさせておく必要がある。
 ・固定されたアームをボディエンド側にまわして音が出た直後に軽く叩く(装飾音的効果)
 ・低音弦でアームダウン。次にピッキングアームで高い音をピッキングしてアームをもどす。一種のトリックプレイで低い音がいつの間にか高い音に変わってるという効果が得られる。
 ・アームをユニットにしっかりと固定して、アームを振動させ(ボディを叩いてもよい)ピッキングすると、アームの小刻みな振動が弦に伝わってトリル効果がでる。(クリケット奏法)
 ・アームをユニットに強く固定せず、アームを握ったままフレーズを弾いていく。不安定なヴィヴラートがフレーズに纏わりついてニュアンスに変化がでる。
 ・アームをダウンさせておいてピッキングアームでもどす。ピッチベンド的な効果が得られる。
 ・1音半以上の音程を使う。低い音でアームダウン、高い音をタップしてすぐにアームを戻す。これを適当な音程で繰り返すと、救急車のサイレンのギミックができる。
 ・低音弦のアームダウンで爆発音、ワウを併用することによって人や動物の声のギミックを出すことができる。
 ・ベンティング(チョーキング)とアームアップを併用すると、音程幅の広いベンドアップができる。
 ・弦をミュートして、アームをピックなどの硬いもので叩くと、ピックアップ・ヒッティング奏法に似た効果が得られる。
 ・アームダウンしてアームバーで弦をこする。独特の金属音が得られる。但し、ユニットやアームの種類や形状によってはできない。
 ・スイッチング奏法とアームアップ、ダウンを併用する。これによってスイッチが入る度に音程が変わるというトリックができる。但し、頻繁につかうとマヌケになる。
その他様々な活用法があるが、書いていくとキリがないのでこのあたりで次にすすむ。
 タッチ奏法(ライトハンド奏法)
この奏法をライトハンド奏法と言うのには抵抗がある。なぜならギタリストは右利きばかりじゃないからである。この奏法はヴァンヘイレンがアランホールズワースのフィンガリングをマネできなかったために確立されたもので、通常ポジショニングその他ニュアンスにこだわるところを、ヴァンヘイレンがコピーするために全くこだわらなかったことが発展する要因となった。邪道が更なる邪道によって生まれ確立されたもののひとつである。奏法の基本としては、ピックを持っている側の指を押弦に参加させることである。これによってインターバルの広いフレーズも、より速く演奏できるようになる。但し、トリッキーなフレーズになってしまうが故に、ワンパターン化しやすく、また、リズム取りが難しいというデメリットがある。ただ、通常の弾き方では不可能なこともできるようになるため、発展性は高くフレーズの幅がひろがる。この奏法については殆ど説明の必要はないと思うが、変り種だけ説明しておく。
 ・8フィンガー奏法:両手の親指を除いた全ての指が使えることから、この名前がついている。この奏法のネックはフォームである。(便宜上右利きの場合で書いてみる)右手を左手と逆のほうからネックにあてる。親指は弦と並行にネックに添え、他の4指を順次押えていくのであるが、押弦が小指に向かうにしたがって親指を支点として手首をボディに並行におろしていく。小指から人差し指に戻るにしたがって逆に手首をボディに並行にひきあげる。オールタッピング、オールプリングになるわけだが、プリングオフはフォームからもわかるように、ほぼ低音弦側に行う。感覚としては、プリングオフの後、隣の弦で指を止めるといったかんじである。
 ・タッピング奏法:プリングオフの存在しない(細かい部分においてはそう言い切れないが)タッチ奏法のこと。この奏法の核はハンマリングオン(タップ)で押弦するすべての指がそれを行うことによって音を出すことである。問題点としてはミュートをどのように行うかである。殆どのプレイヤーが左手(便宜上右利きの場合で書く)をネック上からのばして、左手の腹か小指でミュートをする。メカニカルな発想としてはピアノの音の出し方と酷似するため、ピアノ的音色、フレーズが可能となる。左手の感覚が逆になるのでその意味での慣れが必要。右手は特にこれといったフォームは無い。ただ、テクニック的のもののみならず、フィンガーボード上の音の配列を熟知していないとできない奏法である。
 一回目終わり。ひきつづき二回目をみてください。



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